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万葉集 巻2−85〜234

万葉集 2−89
 詠み人知らず
・万葉植物:ぬばたま(奴波多末)(奴姿玉)/和名:ヒオウギヒオウギ
 居明かして  君をば待たむ  ぬばたまの 我が黒髪に   霜は降れとも
 ゐあかして  きみをばまたむ ぬばたまの わがくろかみに しもはふれとも
 歌意:朝まで寝ないであなたを待ちましょう。私の黒髪に霜が降ろうとも
郡山万葉植物園 2014.5.12


 


万葉集 巻2−90
衣通 王(そとおりの おおきみ)/衣通 郎女(そとおしの いらつめ)
・説明:大変に美しい女性であったため、その美しさが衣を通して輝くことからこの名がある。
    本朝三美人の一人
・万葉植物:やまたづ(山多豆)(山多頭)/和名:ニワトコ(接骨木)(庭常)(庭床)
 君が行   け長くなりぬ  山たづの  迎へを往かむ  待つには待たじ
 きみがゆき けながくなりぬ やまたづの むかへをゆかむ まつにはまたじ
 歌意:あなたが出て行ってから長い日々が過ぎました。
    山を訪ねて迎えに行こうか このまま待ち待ちましょうか
昭和万葉の森 2013.4.1


翠ヶ丘公園(みどりがおかこうえん) 2013.12.6




万葉集 2−94
 藤原 鎌足(ふじわらの かまたり)/中臣 鎌足(なかとみの かまたり)
・説明:614−669年 飛鳥時代の政治家 藤原氏の祖
・万葉植物:さなかつら・さなかずら(真葛)(実葛)/和名:サネカヅラ
 玉櫛笥   みむろの山の  さな葛   さ寝ずはつひに 有りかつましじ
 たまくしげ みむろのやまの さなかづら さねずはつひに ありかつましじ
 歌意:玉くしげ みもろの山のサネかずら天下の美女にして房事の小悪魔めひと時も放さないぞ
郡山万葉植物園 2014.5.12


 

 

万葉集 巻2−107
大津 皇子(おおつの みこ) 
・説明:663−686年 天武天皇と大田皇女の皇子 謀反の疑いにより、処刑された悲劇の皇子として有名。石川郎女との間に、相聞の歌がある
 あしひきの 山の雫に    妹待つと  我れ立ち濡れぬ 山の雫に
 あしひきの やまのしづくに いもまつと われたちぬれぬ やまのしずくに
 歌意:山の雫に、愛しいおまえが来るのを待って、私は立ち続けて山の雫に濡れたことだよ。
    待ち合わせの場所に来なかった恋人を責める歌
 あしひきの:足引きの:「山」に掛かる枕詞
 妹:男性が女性を親しんでよんだことば。とくに、妻や恋人。年下の女性に対して言うことば
 昭和万葉の森 2013.4.1


 


万葉集 巻2−108 石川 郎女の返歌(返事)
石川 郎女(いしかわの いらつめ) 
・説明:女性 生没年不詳 万葉歌人 7世紀末の天武・持統朝に草壁皇子,大津皇子に愛された。
 石川郎女の相手はいずれもそのころの代表的な貴公子,美男で,そうした男性と浮名を流した女性として聞こえていたらしい。
 吾を待つと 君が濡れけむ  あしひきの 山の雫に    成らましものを
 あをまつと きみがぬれけむ あしひきの やまのしずくに ならましものを
 歌意:私を待ってお濡れになったという山のしずくに私がなれればよかった。そうすればずっとお傍にいられるのに。
昭和万葉の森 2013.4.1




万葉集 巻2−111
弓削 皇子(ゆげの みこ)
・説明:年不明  父:天武天皇 母:大江皇女
・万葉植物:ゆづりは・ゆずるは(弓弦葉)/和名:ユズリハ
 古に    恋ふる鳥かも  弓絃葉の  御井の上より  鳴き渡り行く
 いにしへに こふるとりかも ゆづるはの みいのうへより なきわたりゆく
 歌意:昔を恋い慕う鳥であろうか、弓絃葉の御井清水の上を鳴いて渡って行くのは
福浦島(ふくうらじま)県立自然植物公園 2014.4.20


2014.4.20


郡山万葉植物園 2014.5.12


 


万葉集 巻2−125
三方 沙弥(みかたの さみ)
・説明:?−?年 飛鳥時代の歌人
・万葉植物:たちばな()
 橘の    蔭踏む道の   八衢に   物をぞ思ふ   妹に逢はずして 
 たちばなの かげふむみちの やちまたに ものをぞおもふ いもにあはずして
 歌意:橘並木が影を落とす道、その道が四方八方に分かれるように、あれこれ思いをめぐらすことだよ、愛しいおまえに逢えないから
翠ヶ丘公園(みどりがおかこうえん) 2013.12.6



  
 万葉集 巻2−133
柿本 人麻呂(かきのもとの ひとまろ) 
・説明:?−?年 飛鳥時代の歌人。名は「人麿」とも表記される
・万葉植物:ささ:
 笹の葉は  み山もさやに  さやけども 我れは妹思ふ   別れ来ぬれば 
 ささのはは みやまもさやに さやげども われはいもおもふ わかれきぬれば
 歌意:笹の葉に風が吹き、山中はざわめきたっているが、妻をおいてきたので妻のことだけ考えている。
翠ヶ丘公園(みどりがおかこうえん) 2013.12.6


郡山万葉植物園 2014.5.12



 
万葉集 巻2−141
有間 皇子(ありまの みこ) 
・説明:640−658年 孝徳(こうとく)天皇の皇子 
    後世には「有馬」と表記される例が多い
・万葉植物:まつ:
 磐白(代)の 浜が枝を   引き結ぶ  ま幸くあらば  また還り見む
 いわしろの はままつがえを ひきむすび まさきくあらば またかへりみむ
 歌意:磐代の浜松の枝を引き結んで、道中の息災を祈るのだが、願いかなって無事であったなら、また帰って来てこの松を見よう。
万葉クリエートパーク中央広場 2010.4.30


 
郡山万葉植物園 2014.5.12


 
福浦島(ふくうらじま)県立自然植物公園 2014.4.20




万葉集 巻2−142
有間 皇子(ありまの みこ) 
・説明:640−658年 孝徳天皇の皇子  後世には「有馬」と表記される例が多い
・万葉植物:しひ・しい()(四比)(思比)/和名:スタジイ・ツブラジイ
 家にあれば  笥に盛る飯を  草枕    旅にしあれば  の葉に盛る
 いえにあれば けにもるいひを くさまくら たびにしあれば しいのはにもる
 歌意:家に居れば椀に盛る飯も、旅先に出て思うにまかせぬ思い出椎の葉に盛る。
 昭和万葉の森 2013.4.1


2013.4.1




万葉集 巻2−158
高市 皇子(たけちの みこ) 
・説明:654?−696年 天武天皇の第一皇子
・万葉植物:やまぶき:山吹、山振、夜麻夫枝
 山吹の   立ちよそひたる 山清水   汲みに行かめど 道の知らなく
 やまぶきの たちよそひたる やましみづ くみにゆかめど みちのしらなく
 歌意:山吹が美しく咲き匂い立つ山の清水を、汲みに行きたいけれどその道が分からない。
昭和万葉の森 2013.4.1




万葉集 2−166
 大伯 皇女(おおくの ひみこ) 
・説明:661−701年 飛鳥時代の斎王。天武天皇と妃大田皇女の皇女
・万葉植物:あしび(馬酔木)(安之妣)/和名:アセビ(馬酔木)
磯の上に   生ふる馬酔木を 手折らめど 見すべき君が  ありといはなくに
いそのうえに おふるあしびを たをらめど みすべききみが ありといはなくに
 歌意:水辺に生える馬酔木を手折ろうとしたけれど、それをお見せするべきあなたがいるとは誰も言ってくれないのだから
郡山万葉植物園 2014.5.12



 
万葉集 巻2−185
日並皇子 舎人(ひなしの みこの とねり)
草壁 皇子 宮 舎人(くさがへの みこ みやの とねり)
 
・説明:日並皇子尊の薨去の折、挽歌を詠んだ皇子の宮の舎人集団。 柿本人麿をこの舎人の一人と見る説もある。
・万葉植物:つつじ(茵)(都追滋)(菅自)(管土)/和名:ヤマツツジ
 水伝ふ   磯の浦みの   岩つつじ  茂く咲く道を  またも見むかも
 みなづたふ いそのうらみの いはつつじ もくさくみちを またもみむかも
 歌意:水ぎわの磯の浦の磯つつじが茂り咲く道を、再び見るだろうか
翠ヶ丘公園(みどりがおかこうえん) 2013.12.6


郡山万葉植物園 2014.5.12




万葉集 巻2−231
笠 金村(かさの かなむら)
・説明:?−?年 聖武朝の宮廷歌人
・万葉植物:をぎ・はぎ()/和名:ハギ(萩)(芽子)
 高円の   野辺の秋   いたづらに 咲きか散るらむ 見る人なしに
 たかまとの のべのあきはぎ いたづらに さきちるらむ  みるひとなしに
 歌意:高円の野辺の秋萩はむなしく咲いては散っているか、見るべき人がないのに
    いたづらに:空しく
    高円:奈良市白毫寺(びゃくごうじ)町
郡山万葉植物園 2014.5.12


をぎ・はぎ()