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万葉植物
ちさ(知左)・萵苣の木(ちしゃのき)・轆轤木(ろくろぎ)/和名:エゴノキ
・説明:高さは10m。樹皮は赤褐色できめが細かい。葉は両端のとがった楕円形で互生。
 花期は5月、小枝の先端に房状に白い花を下向きに多数つけ、芳香がある。品種により淡紅色の花をつける。
 果実を口に入れると喉や舌を刺激してえぐい(えごい)ことに由来
 

万葉集 巻184106
大伴 家持(おおともの やかもち) 
・説明:718(17)−785年 奈良時代の貴族・歌人 三十六歌仙の一人
    父:大伴旅人(おおとものたびと)
 
 大汝    少彦名の   神代より  言ひ継ぎけらく 父母を
 おほなむち くなびこなの かむよより いひつぎけらく ふぼを
 
 見れば貴く   妻子見れば かなしくめぐし うつせみの 世のことわりと
 みればとおとく めこみれば かなしくめぐし うつせみの よのことわりと
 
 かくさまに 言ひけるものを 世の人の  立つる言立て  ちさの花
 かくさまに いひけるものを よのひとの たつることたて ちさのはな
 
 咲ける盛りに はしきよし その妻の子と  朝夕に   笑みみ笑まずも
 さけるもりに はしきよし そのつまのこと あさよひに ほほみみほほまずも
 
 うち嘆き  語りけまくは  とこしへに かくしもあらめや 天地の
 うちなげき かたりけまくは とこしへに かくしもあらめや てんちの
 
 神言寄せて   春花の   盛りもあらむと 待たしけむ 時の盛りぞ
 かみことよせて はるはなの もりもあらむと またしけむ ときのさかりぞ
 はなれいて なげかすいもが いつしかも つかひのこむと またすらむ
 離れ居て  嘆かす妹が   いつしかも 使の来むと   待たすらむ
 
 心寂しく    南風吹き  雪消溢りて   射水川   流る水沫の
 こころさぶしく みなみふき ゆきげはふりて いみづかは ながるみなわの
 
 寄る辺なみ 左夫流その子に 紐の緒の  いつがり合ひて にほ鳥の
 よるへなみ さぶるそのこに ひものおの いつがりあひて にほとりの
 
 ふたり並び居  奈呉の海の  奥を深めて   さどはせる 君が心の
 ふたりならびい なごのうみの おくをふかめて さどはせる きみがこころの
 
 すべもすべなさ
 すべもすべなさ

 歌意:大汝(おほなむち)、少彦名(すくなびこな)の、神代の時代から「父母を見れば尊いし、妻や子を見ればせつないほどに可愛い。これは世の習いです。」と言い伝えられています。こんな風に言われているのに、世の中の常識的な思いなのに、、ちさの花が咲いている盛りに、いとしい妻と朝夕に笑ったり、笑うことなく嘆いて語り合ったことは、「いつまでもこうしていましょうか。天地の神のおかげで、春の花のように栄えるときも来るでしょう。」と待っていた時がきたのです。
郡山万葉植物園 2014.5.12